2009年05月07日

スペースシャトルの打ち上げ日程をダブルブッキング

スペースシャトルの打ち上げ日程をダブルブッキング
 NASAが2009年5月12日の打ち上げを予定しているスペースシャトル「アトランティス」によるハッブル宇宙望遠鏡修理ミッションに関して、2009年7月11日の打ち上げが予定されている次世代有人ロケット「Ares I」の第一次検証用ロケット「Ares I-X」の打ち上げ日程と重なってしまう可能性があり、どちらかの打ち上げ日程の再調整を行う必要性が生じていることが17日、NASAの会見により明らかとなった。
 スペースシャトルの打ち上げはケネディー宇宙センターの第39A発射台が使われ、「Ares I-X」ロケットの打ち上げにはAresロケットへの改装が予定されている同第39B発射台が使われる予定。
 しかし、ハッブル宇宙望遠鏡修理ミッションに投入軌道高度が高すぎて緊急時にスペースシャトルを国際宇宙ステーションに避難させることができないためスペースシャトル「コロンビア」喪失事故以降に作られたNASAの飛行安全規定により宇宙空間で飛行中のスペースシャトルに緊急事態が生じた際に備えて、地上で別のスペースシャトルを発射状態にしておく必要性が生じる。
 そのためには「アトランティス」の発射用に第39A発射台を、バックアップの「エンデバー」の発射用に第39B発射台を占有する必要性が生じ、ハッブル宇宙望遠鏡修理ミッションが完了して「アトランティス」が地上に帰還するまで第39B発射台は使えないということになってしまうことが、今回の問題の要因。
 Aresロケットの開発を進めているコンステレーション計画(Constellation Program)チームでは第39B発射台から「Ares I-X」ロケットを打ち上げるためには第39B発射台の設備をスペースシャトル用のものからAresロケット用のものへ改修作業を実施する必要があり、最短でも5月9日までに第39B発射台がシャトルミッションから解放することを求めている。
 当初の予定通りに7月中に第39B発射台から「Ares I-X」を打ち上げるためには、第39A発射台から「アトランティス」の発射が確認した後に、「エンデバー」を第39B発射台での待機状態から解除を行い、更に、第39A発射台に移動させて、第39A発射台で待機状態にする必要があり打ち上げ運営管理上、非常に煩雑な作業が発生する見通しで、NASAでは改めてバックアップの「エンデバー」を用意しないで「アトランティス」の単独打ち上げが実施可能かどうかなども検討している。
 NASAではダブルブッキング状態となった第39B発射台に関して、スペースシャトル計画とコンステレーション計画のどちらを優先させるかで、頭を悩ませているが、今のところミッションの重要性からコンステレーション計画の「Ares I-X」ロケットの打ち上げ実験を優先させる方向で調整を図っている模様だ。
 画像は今年の9月、第39A発射台と第39B発射台で打ち上げ準備に入った「アトランティス」と「エンデバー」の模様を撮影したもの。ハッブル宇宙望遠鏡修理ミッションは本来は10月に実施される予定だったが、9月末にハッブル宇宙望遠鏡のメインコンピューターがダウンしたことを受けて、修理ミッションの内容に変更を余儀なくされて、打ち上げは来年へと延期されていた。


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