2009年07月19日

スペースシャトル損傷問題、外部燃料タンクからの剥離箇所は多数





2009/7/17 11:35 UTC − 16日に行われたスペースシャトル「エンデバー」(STS-127)の打ち上げに際して、外部燃料タンクから剥離したデブリがシャトル本体に衝突を起こした問題に関連して、潜在的に剥離を起こした可能性がある部分は10箇所以上にも及ぶなど、これまでは生じなかった大規模な剥離が起きていたことが同日、打ち上げ後に行われたNASAの会見により明らかとなった。
多数の外壁材剥離が生じた箇所は、外部燃料タンクの中央部分。外部燃料タンクに取り付けられたビデオカメラには長さ約6インチ大のものが多数、剥がれ落ちていった模様が収められている。
今のところ、外壁材の剥離によってシャトル本体が損傷を受けた可能性は小さいとしているものの、今回に限ってなぜこれほどまでに多数の剥離が生じたのか、NASAでは次回の打ち上げまで原因を解明する必要があると述べている。
外壁材の剥離によって生じたシャトル本体の損傷箇所は現在、シャトルに取り付けられたロボットアームを使って検査中。詳細が判明するのは2、3日の日数が要する見通し。  


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2009年05月07日

スペースシャトルの打ち上げ日程をダブルブッキング


 NASAが2009年5月12日の打ち上げを予定しているスペースシャトル「アトランティス」によるハッブル宇宙望遠鏡修理ミッションに関して、2009年7月11日の打ち上げが予定されている次世代有人ロケット「Ares I」の第一次検証用ロケット「Ares I-X」の打ち上げ日程と重なってしまう可能性があり、どちらかの打ち上げ日程の再調整を行う必要性が生じていることが17日、NASAの会見により明らかとなった。
 スペースシャトルの打ち上げはケネディー宇宙センターの第39A発射台が使われ、「Ares I-X」ロケットの打ち上げにはAresロケットへの改装が予定されている同第39B発射台が使われる予定。
 しかし、ハッブル宇宙望遠鏡修理ミッションに投入軌道高度が高すぎて緊急時にスペースシャトルを国際宇宙ステーションに避難させることができないためスペースシャトル「コロンビア」喪失事故以降に作られたNASAの飛行安全規定により宇宙空間で飛行中のスペースシャトルに緊急事態が生じた際に備えて、地上で別のスペースシャトルを発射状態にしておく必要性が生じる。
 そのためには「アトランティス」の発射用に第39A発射台を、バックアップの「エンデバー」の発射用に第39B発射台を占有する必要性が生じ、ハッブル宇宙望遠鏡修理ミッションが完了して「アトランティス」が地上に帰還するまで第39B発射台は使えないということになってしまうことが、今回の問題の要因。
 Aresロケットの開発を進めているコンステレーション計画(Constellation Program)チームでは第39B発射台から「Ares I-X」ロケットを打ち上げるためには第39B発射台の設備をスペースシャトル用のものからAresロケット用のものへ改修作業を実施する必要があり、最短でも5月9日までに第39B発射台がシャトルミッションから解放することを求めている。
 当初の予定通りに7月中に第39B発射台から「Ares I-X」を打ち上げるためには、第39A発射台から「アトランティス」の発射が確認した後に、「エンデバー」を第39B発射台での待機状態から解除を行い、更に、第39A発射台に移動させて、第39A発射台で待機状態にする必要があり打ち上げ運営管理上、非常に煩雑な作業が発生する見通しで、NASAでは改めてバックアップの「エンデバー」を用意しないで「アトランティス」の単独打ち上げが実施可能かどうかなども検討している。
 NASAではダブルブッキング状態となった第39B発射台に関して、スペースシャトル計画とコンステレーション計画のどちらを優先させるかで、頭を悩ませているが、今のところミッションの重要性からコンステレーション計画の「Ares I-X」ロケットの打ち上げ実験を優先させる方向で調整を図っている模様だ。
 画像は今年の9月、第39A発射台と第39B発射台で打ち上げ準備に入った「アトランティス」と「エンデバー」の模様を撮影したもの。ハッブル宇宙望遠鏡修理ミッションは本来は10月に実施される予定だったが、9月末にハッブル宇宙望遠鏡のメインコンピューターがダウンしたことを受けて、修理ミッションの内容に変更を余儀なくされて、打ち上げは来年へと延期されていた。  


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2009年03月18日

スペースシャトルには密航者が乗っていた


 米東部標準時で今月15日に打上げが実施されたスペースシャトル「ディスカバリー」(STS-119)は「密航者」を乗せたまま打上げが実施されていたことが17日、NASAの発表により明らかとなった。
 NASAによるとこの「密航者」はケネディー宇宙センターに隣接するメリット島野生動物保護区に住んでいたとみられるコウモリ。このコウモリは打上げ前の検査の際にスペースシャトルの外部燃料タンクに留まっていることが判明。打上げチームは打上げまでにどこかへ飛んでいってもらうことを期待したが、打上げ後に実施されたビデオ映像による解析調査の結果、このコウモリは打上げの際もそのまま外部燃料タンクに留まっていたことが判明したとしいる。
 画像解析に協力した動物学者によると、このコウモリは右肩か、左翼に問題があり、飛び立つことができない状態にあったのではないかと見ている。
 NASAでは、このコウモリは恐らく打上げの衝撃で打上げ後、しばらくしてから振るい落とされてしまったのではないかと見ているが、本当にどうなったかは不明。
 NASAでは、1998年のスペースシャトル「コロンビア」(STS-90)の打上げに際しても「翼のある生き物(one of the winged creatures)」が外部燃料タンクに留まっていたことがあったが、STS-90の打上げではメインエンジンが点火するとその生き物は飛んでいってしまったとも説明している。  


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2009年01月05日

コロンビア喪失事故でNASAが最終報告

 NASAは12月30日、2003年2月1日に大気圏に再突入の途中でテキサス州の上空で空中崩壊を起こしたスペースシャトル「コロンビア」の最終事故調査報告書を発表した。
 今回、発表された事故調査報告書によるとコロンビアの乗員は、空中崩壊を起こして機体が分解した後も最大1分間に渡って生存した可能性があるという衝撃的な事実を初めて明らかにした。
 NASAによると、コロンビアの乗員モジュールは機体が空中分解を起こすと同時に、各種のアラートが一斉に鳴り出して、機体に異常が発生したことを乗員に通報。コロンビアのパイロットは一斉に鳴り出したアラートを受けて、規定のプロシージャーに従って危機回避策に着手。しかし、乗員は最後まで機体がどのような状況に陥ったのかについては判っていなかっただろうとも述べている。
 その後、コロンビアの乗員モジュールは空中分解してから数秒後に高度6万3500フィート(約1万9350メートル)の上空で気密が暴露し、ほぼ一瞬の内に空気圧が真空状態までに急激に低下。その時点で乗員の全員はヘルメットのバイザーを閉めていなかったために、減圧症での最悪の状況「Ebullism(一瞬のうちに体液が沸騰状態に陥ること)」に陥り、意識を喪失したとしている。また、仮に宇宙服の気密が完全だったとしても、コロンビアの乗員モジュールは極度に安定を失って落下を始めたことから直ぐに気を失っただろうと説明している。
 その上で、NASAは乗員はコロンビアが空中分解を起こした後も1分間に渡って生存していた可能性はあるが、どの乗員も意識を保つことができたのは事故後、数秒間の間であり、減圧症の影響で例え、地上落下の衝撃がなく、減圧症が発生した直後の状態で、適切な治療が施されたとしても助かる見込みはなかっただろうとも述べている。
 事故調査委員会は今回の事故調査報告書でコロンビアの乗員が事故発生当時に完全に宇宙服を着ていなかったことに注目。その上で、乗員が宇宙服を完全に装着し、更に、宇宙服に関しても装着後、自動的に内圧が保たれるような構造にはなっていれば、より長く意識を保つことができ、より長い間、緊急対応を行うことはできたはずとし、将来の宇宙服では自動的にヘルメットのバイザーが閉まるなど、緊急時への対応が自動的に行えるように改善するように求めている。
コロンビアの最終崩壊プロセスの詳細は以下の通り
フェーズ2からの続き
GMT 13:59:24 「ヒューストンへ、こちらコロンビア、タイヤの空気圧に異常が発生したというメッセージが表示されている。それとヒューストンからの最後のメッセージが聞き取れなかった」
GMT 13:59:29 シャトルの自動操縦機能が規定限界値を超える。左翼の破壊がエルロンにまで波及(この後、シャトルは14:00:18まで空中回転状態となる、重力加速度は3.5Gまで到達)
GMT 13:59:31 シャトルからのデータダウンリンクが途絶
GMT 13:59:32 「ラジャー(了解)」コロンビアからの最後のメッセージ
フェーズ3
GMT 13:59:33 FCS CH4に関連してマスターアラーム
GMT 13:59:37 シャトルの異常ピッチ動作が開始
GMT 13:59:46 デブリAが剥離(恐らく左側OMSポッドカバー)
GMT 13:59:52 デブリDが剥離(恐らく左側OMSポッド)
GMT 14:00:02 デブリB/Cが剥離(左翼の一部)
GMT 14:00:05 GPCシグナルが途絶
GMT 14:00:11 OMSタンクから燃料漏れ
ビデオ映像での軌跡の色が変化
フェーズ4
GMT 14:00:18 機体の最終崩壊プロセスに突入
電気系統がダウン(インターコム、生命維持装置、その他全ての乗員モジュールの機能がダウン)
シャトルが格納庫ハッチ、乗員モジュール、機体本体の3つに分解
GMT 14:00:25 乗員モジュールが複数個に分解
一時的に乗員モジュールの重力加速度が1Gにまで低下
GMT 14:00:35 乗員モジュールの気圧低下が開始
GMT 14:00:53 乗員モジュールが最終崩壊プロセスに突入
上部デッキとミドルデッキが分離
乗員モジュール内が外気に露出
フェーズ5
GMT 14:00:59 乗員モジュールの気圧低下が完了
GMT 14:01:10 乗員モジュールが更に複数個に破片に分解
地上観測ステーションから乗員モジュールの捕捉が困難に
フェーズ6
GMT 14:35:00 乗員モジュールの全て破片が地上に到達  


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2008年12月29日

シャトル輸送機の珍しいショット







 今月10日、フロリダ州のケープケネディー宇宙センターに帰還するため、スペースシャトル「エンデバー」を載せてカリフォルニア州エドワーズ空軍基地を離陸した「シャトル輸送機(Shuttle Carrier Aircraft)」を真上から撮影した珍しい写真。
 NASAではシャトル輸送機の随行機から撮影したものだと説明している。
 このシャトル輸送機、その後、ケープケネディー宇宙センターの気象条件が再び悪化したことを受けて、一旦、テキサス州のフォートワース米海軍基地に着陸。そこで2日間に渡って待機し、12日にケープケネディー宇宙センターに向けて離陸。
 ケープケネディーには12日午後2時に無事に帰還を果たした。  


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2008年10月01日

史上初!2機のスペースシャトルが同時に発射体勢


 フロリダ州ケープケネディー宇宙センターで発射台に据えられたスペースシャトル「アトランティス」(手前)とスペースシャトル「エンデバー」。
 こうした形で2機のスペースシャトルが同時に発射態勢となるのはスペースシャトルの運用史上、初の出来事となる。
 今月10日に打ち上げが予定されている「アトランティス」は国際宇宙ステーションの軌道(高度400キロ前後)よりも高い、高度600キロを軌道上にあるハッブル宇宙望遠鏡の修理ミッションを行うことが予定されているため、打ち上げ後、「アトランティス」に何らかの問題が発生し、地球に帰還できないような状況が発生したとしても、これまでのスペースシャトルのように国際宇宙ステーションに避難するということができない。
 このため、今回のハッブル宇宙望遠鏡修理ミッションに関してのみ、「アトランティス」の打ち上げと同時に地上で「エンデバー」を打ち上げ可能状態にして待機させることが必要となったことが、今回、「アトランティス」と「エンデバー」の2機のスペースシャトルを発射スタンバイとした理由となる。  


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2008年09月03日

国際宇宙ステーションが緊急軌道変更、その驚くべき舞台裏


 ロシア連邦宇宙局(Roskosmos)は27日、スペースデブリとの衝突回避のために国際宇宙ステーション(ISS)の緊急に軌道修正作業を実施した。
 この軌道修正作業は、ISSの方向を一旦、進行方向逆に向けて軌道修正用のESAの宇宙船、ATVのロケットエンジンを前方に向けて噴射することで、ISSの速度を減速させて、軌道高度を下げるという非常に特殊な操作が実施された。
 ISSは地球の重力に引き寄せられ、周回するごとに軌道高度を下げているため、わざわざ、軌道高度を下げるという軌道修正は本来は行うべき内容ではないが、ISSは前回、6月にATVのロケットエンジンを噴射することで軌道を上昇させる軌道修正作業を行ったばかりということもあり、想定されている軌道高度の上限に近く、今回は、軌道高度を上昇させることはできなかったことが、軌道高度の低下という非常に特殊な軌道修正作業を行う要因となった。
 それはともかく、ISSとの衝突コースに入ったスペースデブリとは何者なのだろうか?
 このスペースデブリの正体に関してロシア連邦宇宙局も、ESAも一切、明らかにしなかったものの、NASAはこのスペースデブリとはロシアが2006年6月25日に打ち上げた「EORSAT」と呼ばれる軍事偵察衛星の「Cosmos 2421(29247/2006-026A)」であったことを明らかにしている。
 「Cosmos 2421」の打ち上げ時に米国が公開したデータによるとこの衛星の軌道要素は遠地点が430キロ、近地点が409キロ、軌道傾斜角が65度の極軌道衛星となっていた。
 NASAでは「EORSAT」とは海上で航行中の西側の艦船を巡航ミサイルを使って破壊する際に使用するための目標補足用のレーダー衛星だと説明している。
 この衛星、2006年6月25日に打ち上げが実施。2008年2月頃に喪失したものと見られていた。
 NASAのニューズレーター「Orbital Debris Quarterly News(Vol 12, Issue 3)」によると「Cosmos 2421」は2008年3月14日に空中分解を起こし約300個の破片に細分化。その後、4月から6月にかけて更に分解を起こし、最終的には地上から観測可能な5センチ以上のスペースデブリ約500個によって構成された「宇宙開発史上最大規模のデブリ雲」と化してしまったと述べている。
 NASAではこの衛星が空中分解を起こした原因に関しては不明だと述べているが、「EORSAT」はこれまでも度々、同じ状況が発生してきたとも述べている。
 空中分解というのは、具体的には軌道上で爆発が起ったのではないかと思われるところだが、こうした人工衛星が軌道上で爆発を起こすのは一体、どういう原因が考えられるのだろうか?想定可能な原因を列挙すると
①タンクに残った軌道修正用の残存燃料が太陽光の輻射熱により温度上昇を起こして爆発した。
②情報漏えい防止のために自爆させた。
③他国の衛星攻撃兵器による攻撃を受けた。
 などが可能性としては挙げられる。
まず、①の可能性だが、人工衛星は一般的には軌道修正用の残像燃料が尽きたところで、衛星寿命を迎える。NASAの推定ではこの衛星の衛星寿命は約2年。打ち上げが2006年6月25日で2008年2月10日に喪失したとすると、残存燃料は枯渇していた可能性が高い。
 次に②の自爆という可能性だが、これは基本的にはあり得ない。高度400キロ前後の軌道上の人工衛星はスペースシャトルを使えば捕獲することは理論的には可能だが、技術的難易度は非常に高いのが現状。また、このような低軌道の人工衛星の場合は、喪失後は数年で大気圏に再突入してしまうため、わざわざ破壊しなくとも情報漏えいする恐れはないからである。
 次に残ったのが、他国の攻撃を受けたという可能性となるが、衛星攻撃兵器を保有しているのは米国、ロシア、中国の3ヵ国だけしかなく、ロシアの衛星が仮に攻撃を受けては破壊されたとなると、可能性としては米国か中国が破壊したということになるが、他国の衛星に攻撃を行うことは、事実上の宣戦布告とも同意義であり、現実性としては低い。
 では一体なぜ、「Cosmos 2421」は空中分解したのであろうか?
 ここまで書いた時点で続報が寄せられた。過去に起きた「EORSAT」の空中分解はいずれの場合もロシアのトラッキング・ステーションの通信範囲内で起きており、米国の情報筋ではこれらの衛星は意図的に自爆させられたものと見ているという。
 これはまったく不可解な行為だ。前述したように軌道上の人工衛星を捕獲することは事実上不可能であり、わざわざ、使用不可能になった人工衛星を自爆させる必要性などはどこにも存在しないからである。もし、この衛星が本当に自爆したのならば、それは情報漏えい防止のための自爆ではなく、衛星破壊兵器開発の一環として、軌道上の衛星で爆発を起こしたと考えるのが適当なのかもしれない。
 昨年1月には中国が衛星破壊兵器の実験を行ったことで、米中間の関係が急速に悪化するという事態が発生した。「Cosmos 2421」の空中分解に関するこれらの情報はまったくの伝聞にしか過ぎないが、もし、本当にこの衛星が自爆したのだとすると、それは米国にとっては中国の実験以上に大きな脅威であるに違いない。
 ここまで来るとロシアによるISSの軌道変更も自作自演の茶番劇でしかなくなる。
 米国がスペースシャトルの退役時期延長を検討しなければならない本当の理由がここにあるのかもしれない。  


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2008年09月01日

NASA、スペースシャトルの退役時期延長を検討へ


 NASAのグリフィン長官が2010年での退役が決まっているスペースシャトルに関して、後継の有人宇宙船「オリオン」の完成が見込まれている2015年まで運行の延長が可能かどうか、検討するように指示を出していたことが8月29日、明らかとなった。
 米地方紙の「オーランド・センチネル(Orlando Sentinel)」がグリフィン長官が部下に宛てた電子メールを入手。その内容を報じたことにより明らかとなったものとなる。
 NASAは2010年でスペースシャトル全機を退役させることを決定し、2010年から後継の有人宇宙船「オリオン」の完成が見込まれている2015年までの間は、国際宇宙ステーションへの渡航手段としてはロシアのソユーズ宇宙船を利用する方向で米議会と予算確保に関する調整作業を進めていた。
 しかし、8月にロシアがグルジアに対して侵攻攻撃を行ったことを受けて、議会を中心にこのNASAによるソユーズ宇宙船利用案に反対する動きが拡大。NASAが当初求めていたソユーズ宇宙船利用案を議会が承認する可能性はほとんどなくなってしまっていた。
 今回、グリフィン長官がスペースシャトルの運用延長の検討を指示したのは、代換案として利用を検討していたソユーズ宇宙船の利用が議会によって承認される見通しがなくなったことを受けてのものと見られている。
 NASAのジョン・エンブリック(John Yembrick)広報官は同日付けで、AP通信のインタビューに応じた上でオーランド・センチネル紙が報じたグリフィン長官が発したとする電子メールの存在を認める発言を行った上で「スペースシャトル運用延長が決まった訳ではない」と発言。
 グルジア紛争に伴う米露間の関係悪化という思わぬ事態を受けてスペースシャトルの退役時期が延長されるという思わぬ事態が生じる可能性が強まってきた。  


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2008年08月17日

超音速飛行実験体「HYBOLT」の打ち上げ実験8月21日実施


 NASAは12日、HYBOLT(Hypersonic Boundary Layer Transition)とSOAREX(Sub-Orbital Aerodynamic Re-entry Experiments)の2つの次世代実験宇宙船の打ち上げを21日、バージニア州にあるNASAのワロップ基地で実施することを発表した。
 HYBOLTは、米ロケットベンチャー、アライアント・テックシステムズ(Alliant Techsystems)が開発を行ったALV X-1ロケットの先端に固定、SOAREXはALV X-1のセカンダリー・ペイロードに搭載されることで打ち上げが実施され、高度400キロに達した後、軌道上に放出。
 HYBOLTは、軌道上で分離した後、地球の熱圏をマッハ8以上の速度で飛行することにより、超音速(ハイパーソニック)飛行時の諸データを収集。開発が進められているX-51Aなどスクラムジェットエンジンなどを搭載した超音速弾道航空機の開発の基礎データとして役立てる。
 SOAREXは宇宙からのサンプルリターン用にNASAが開発をしてきた小型の自律制御可能な再突入用カプセル。小型ロケットで打ち上げられた後、約40分間に渡って微細重力環境で各種実験を行い、その後は、大気圏に再突入して地上まで帰還できる能力を持つ。NASAはこれまでに合計4回に渡って、SOAREXによる再突入実験を実施。今回の実験は多重再突入実験(Multiple Reentry Experiments)を行うため、と説明している。  


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2008年08月06日

バッターアウト?米SpaceX社のFalcon1ロケットとは


 米SpaceX社は2日、ハワイの南西2500マイルにあるクェゼリン環礁にある発射施設からFalcon1型ロケットの3回目の打ち上げを実施したが、ロケットはステージセパレーションの際に発生したトラブルにより、打ち上げは失敗した。
 2006年3月に行われた1号機の打ち上げでは打ち上げ30秒後にファーストステージに発生した問題によりロケットは墜落。2007年3月に行われた2号機の打ち上げでは、セカンドステージの燃焼が規定時間未満で終了したため、ロケットは予定軌道には到達できず、部分的成功(実質的失敗)に終わっており、今回の3号機の打ち上げ失敗を受けてFalcon1は3回連続で打ち上げ実験に失敗したこととなる。
 野球の場合、スリーストライク、バッターアウト(実際、米国内メディアの場合、今回のロケット打ち上げ失敗をこのタイトルで報じたところもある)ということになり、民間企業として初の本格的ロケット開発に乗り出したSpaceX社は事業継続の瀬戸際に追い込まれたこととなる。  


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2008年08月05日

NASAが反論、火星で生命など発見していない


  NASAの火星探査機「フェニックス」が火星の土壌から「生命の可能性」につながる重大な発見を行ったと1日付けの航空宇宙専門誌「アビエーション・ウィーク&スペース・テクノロジー」が報じたことに関して、「フェニックス」探査チームの責任者が報道内容を否定する発言を行っていたことが明らかとなった。
 4日付けの米MSNBCによると、「フェニックス」探査チームの統括責任者となるピーター・スミス(Peter Smith)博士は4日、「フェニックス」が火星の土壌から「生命の可能性」につながるを行ったというのは「馬鹿げた、また悪意のある報道だ(bogus and damaging information)」と発言して、先の報道を完全否定した。
 アビエーション・ウィーク誌は「生命の可能性」につながる発見をしたのは、「フェニックス」に搭載されているMECA(Microscopy, Electrochemistry, and Conductivity Analyzer)と呼ばれる分析装置による分析結果によるもので、先に「フェニックス」探査チームが火星の土壌から水を発見したとする記者会見を行った際には、記者団からの質問がMECAに及ばないようにわざとMECAの観測担当者を記者会見から外させて、更に、事の重大性からホワイトハウスの科学顧問に対してブリーフィングを行ったと報じていた。
 スミス博士は記者会見でMECAの担当者を外したのは単にMECAの分析作業が完了していなかったからで、大体、MECAに関わる分析情報をワシントンにあるNASA本部の職員が知りえる訳がなく、ホワイトハウスの科学顧問に対してNASAがブリーフィングを実施したというのも嘘だと、報道内容を真っ向から否定した。
 また、アビエーション・ウィーク誌に報道でNASAからブリーフィングを受けたとされるホワイトハウスのクレイグ・コボート(Craig Covault)科学顧問もMSNBCのインタビューに応じて「(アビエーション・ウィーク誌)は火星で生命が発見されたとか記事にしているようだが、はっきりと、はっきりと、3回程繰り返す言っていいが、火星で生命が発見されたことはない」と答えた。
 ただし、コボート科学顧問は、NASAから火星の土壌が生命の生存性の可能性をもっているとの報告は受けたとした上で、その方向でホワイトハウスがアラートを上がることはできないか、相談を受けたことは認めた。  


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2008年08月01日

火星探査機「フェニックス」、火星の土壌から水分の検出に成功


 NASAは7月31日、火星探査機「フェニックス」が採取した火星の土壌から水分を検出することに成功したことを発表した。
 火星の土壌は「フェニックス」のロボットハンドを使って採取された後、「フェニックス」のオーブンと呼ばれる実験格納容器に投入。オーブンに投入された土壌に熱を加えることで気化されたガスをTEGA(Thermal and Evolved Gas Analyzer)と呼ばれる装置を使って分析を行うことによって土壌の中に水分が含まれていたことを確認した。
 TEGA実験のリードサイエンティストを務めるアリゾナ大学のウィリアム・ボイントン(William Boynton)博士は「先月採取した土壌からは水を見つけることはできなかったが、終に、確固たる形で土壌から水分を検出することに成功した」と述べて、今回の成果を強調した。
 NASAでは今回、「フェニックス」が火星の土壌から水分の検出に成功したことを受けて、「フェニックス」の観測ミッション期間を5週間延長して、当初予定のミッション終了日の9月30日以降も観測を継続することも併せて発表した。  


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2008年07月20日

木星に出現した第三の赤斑、大赤斑に飲み込まれる


 今年に入ってから木星に出現した第三の赤斑が大赤斑に飲み込まれて無くなったことが17日、ハッブル宇宙望遠鏡による観測結果から明らかとなった。
 木星には今から350年~200年前に出現した大赤斑と呼ばれる赤い巨大な渦が、更に、2005年末に白斑から変化した小赤斑の2つの赤斑が存在していたが、今年に入ってから、小赤斑を一回り小さくした位の第三の赤斑が出現したことが、ハッブル宇宙望遠鏡による観測結果から明らかとなっていた。
 5月の時点では、この第三の赤斑は大赤斑と同じ緯度を大赤斑に近づくコースを辿っていたことから、このまま進んだ場合には8月頃までには大赤斑に吸収されるか、あるいは、ぶつかって跳ね飛ばされるかの、どちらかの状況となることが予測されていた。
 画像の分析を行ったNASAのジェット推進研究所では、「第三の赤斑はあたかも『パックマン』のように大赤斑に飲み込まれてしまった」と述べている。  


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2008年07月10日

2010年9月30日をもってスペースシャトルを全機退役処分に


 NASAは7日、2010年9月30日をもってスペースシャトルの全機を退役処分とすることを正式発表した。
 NASAが今回、発表した予定ではスペースシャトルは2009年に5回、2010年に3回の打ち上げを実施して全て退役処分とするとしている。
 スペースシャトルは年内に2回の打ち上げが予定されており、あと10回の打ち上げが実施されれば全ての打ち上げ日程を完了し、お払い箱となる見通しだ。
 スペースシャトルが2010年9月末で退役となった場合、フロリダ州などを中心に打ち上げに関わる数千名のNASA従業員や下請け作業員が解雇されることともなり、雇用確保の観点から議会の一部では追加予算を認める代わりに2010年以降の打ち上げも認めるように要求する動きもでてきているが、NASAではスペースシャトルの運用は安全性の問題があるとしており、今のところ、運用の延長は行わない方針だ。
 スペースシャトルは1981年4月21日に初打ち上げが行われた世界初の実用的な再利用可能有人宇宙船。打ち上げ時に用いられる外部燃料タンクの他はほとんどの部分を再利用可能とすることで、使い捨て型ロケットに比べてコストを削減する目的で開発が進められたものとなるが、実際には飛行を行うごとに耐熱タイルに剥離が生じていないが、微細に点検を行う必要が生じ、運用コストは従来型の使い捨てロケット以上に跳ね上がったことに加えて、1986年1月28日には固体ロケットブースターの潜在的欠陥からチャレンジャーが打ち上げ途中で墜落し、乗員7名が全員死亡。更に2003年2月1日には打ち上げ時に外部燃料タンクから剥離した氷結によって生じたシャトル下部の亀裂が原因となりコロンビアが空中分解。またしても乗員7名が全員死亡するなど、当初の仕様条件では起りえない確率で致命的な事故を起していた。  


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2008年07月07日

NASAの探査衛星「カッシーニ」


 NASAが1997年に打ち上げた土星探査衛星「カッシーニ(Cassini)」が当初予定していた全ての探査計画を今月で全て完了。6月30日以降からは2年間の延長探査期間に突入することが4日までにNASAの発表によって明らかとなった。
 「カッシーニ」は1997年10月に打ち上げられた後、金星と地球の重力場を利用してスイングバイを実行し、2004年6月30日に予定されていた土星の軌道に到達。以降、今月末でちょうど4年間に渡って土星と土星の衛星の探査を続けてきた。
 「カッシーニ」はこの4年間の基本探査期間で、土星の磁場が従来考えられていたよりも強力でその影響度は遠く、地球の周囲にまで影響を与えていることや、土星の衛星「エンケラドゥス(Enceladus)」から放出される物質が土星のE環の主要な供給源になっていることなど、数々の成果につながる観測データを地球に送信することを可能とした他、これまでは見られなかった高解像度の土星やその衛星の映像を送ることに成功した。
 「カッシーニ」は外惑星探査衛星のため、太陽電池パネルではなく、原子力電池を搭載。既に打ち上げから10年以上が経過し、当初予定されていた設計寿命も今月末で過ぎることとなるが、今のところ特に問題となる箇所は生じておらず、2年の延長探査期間に関してもこれまで以上の成果をもたらすことが期待されている。
  


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2008年07月07日

水星は縮小している


 今年の1月に水星に最接近を果たしたNASAの水星観測衛星「メッセンジャー(Messenger )」を使った観測調査により水星の直径は惑星が形成して以降、1.5キロも縮小していることが4日、科学雑誌「サイエンス」で組まれた水星研究の特集号に掲載された複数の論文により明らかとなった。
 今回、水星をテーマにした論文を「サイエンス」に掲載したのは米カーネギー科学研究所(Carnegie Institution for Science)のショーン・ソロモン博士らの惑星研究者。
 研究者らは「メッセンジャー」による観測データを分析することにより、水星はコアの冷却化の影響により惑星の直径の縮小傾向が続いていること、また、この影響は惑星の磁場の縮小にもつながるなど、多方面に影響を与えていることが判ったとしている。
 「サイエンス」に掲載された論文ではまた「メッセンジャー」による観測データの結果から水星の表面を形成している特長的なクレーター群は隕石の衝突ではなく火山活動によって形成された可能性が高いこと。また、たくさんの断層、しわなどといった地形も発見されたが、それらをあわせると、水星が受けた圧力の総量がこれまで考えられていたものの約3の1であると考えられること。水星は全重量の60パーセント以上が鉄であるが、表面の鉱物に含まれる割合は低く、おそらく地殻およびマントルにも鉄はあまり含まれていない。これは内部太陽系の他の惑星と比べてきわめてまれなことが判ったとしている。  


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2008年07月06日

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影、宇宙に広がるナゾの帯








 左の画像はNASAのハッブル宇宙望遠鏡が「かに星雲」で見つけたナゾの帯状のものの映像。
 ハッブル宇宙望遠用の管理運営を行っている米ジョンホプキンス大学では、この不思議な映像を宇宙に広がる「Stars and a Stripe(星条旗)」と命名して説明を行っている。
 もっとも、星条旗を意味する英語は「Stars and Stripes」であり、帯が1本だけだと星条旗にはならないのだが…
 それはともかく、この不思議な映像はいったいどういうものなのだろうか?
 ジョンホプキンス大学のウィリアム・ブレア教授によると、この不思議な映像は今から約1000年前に「かに星雲」で起きた超新星爆発の名残り「SN1006」を撮影したもので、「SN1006」からガスが帯状に吹き出していることからこのような変わった光景が見られるものとなったと、説明している。
 右の画像はこの「SN1006」の全体を撮影したものとなる。右上の水色の四角で囲った部分が左の映像部分となる。
この映像を見れば、この帯がどういった形でできているものかが、判るだろう。
 「かに星雲」で起きたこの超新星爆発、実は西暦1054年に起ったもので、有史以来観測された超新星の爆発現象としてはもっとも明るく光り輝いたものだと見られており、その詳細は超新星爆発が起きてから50年以上が経過した鎌倉時代になってから藤原定家(1162-1241)が「明月記」という日記にその時の模様を書き残したことでも有名だ。
 藤原定家は「明月記」で「寛弘三年四月二日、騎官の方角に大変明るい客星が現れた」と残している。
 この超新星爆発と藤原定家が日記を書くまでには50年以上の歳月が経過しており、藤原定家自身が、この現象を目撃した訳ではなく、伝聞によるものを日記に残したと見られているが、現象から50年を経過してもまだ尚、伝聞として語り継がれていたことに、この現象がいかに激しかったものか、想像することができるかもしれない。
  


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2008年06月30日

アレスVはサターンV以上の巨大ロケットに


 NASAは25日、月着陸船などの大型物資運搬用に開発を進めている次世代大型ロケット「アレスV(Ares V)」の第一段ロケットのRS-68Bロケットエンジンの数を当初予定の5機から6機に増加させて推力の増大を図ることで低軌道(LEO)への投入可能重量を130トンに、月軌道への投入可能重量を71トンに増大を図ることを発表した。この仕様変更に伴いアレスVの全長もアポロ計画の際に利用されたサターンVと同じ110メートルから116メートルに延長されることとなる。
 今回の仕様変更はNASAが2020年頃にも実現することを予定している有人月旅行計画で必要となる月着陸船などの物資の総重量が増大する見通しとなったことを受けてのもので、9ヶ月に渡るプロジェクト・レビューの上で仕様見直しが決定された。
 仕様変更の発表にあたってNASAのジェフ・ハンレー(Jeff Hanley)コンステレーション計画担当プログラムマネジャーは、「これらの仕様変更に伴い、我々はいつでも次の段階に進むことができることができることとなった」と述べ、この仕様変更によりアレスVの技術仕様策定作業がほぼ完了したとの見解を示した。  


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2008年06月16日

「ディスカバリー」ケープケネディー宇宙センターに無事に帰還


 スペースシャトル「ディスカバリー(STS-124)」は米東部標準時で14日の午前11時15分、14日間に渡るミッションを終えて無事に米フロリダ州にあるケープケネディー宇宙センターに着陸した。
 今回のミッションでは、日本の実験モジュール「きぼう」とそのロボットアームを国際宇宙ステーションまで運搬し、取り付けを行うという作業を実施し、全ての作業を予定通りに行った。  


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2008年06月13日

NASAが公開、これが次世代宇宙服


 NASAは12日、現行のスペースシャトルに代わる次世代有人宇宙船開発のための「コンステレージョン(Constellation)」に伴い、米オセアニアリング・インターナショナル(Oceaneering International)社を次世代宇宙服の開発業者に選定したことを発表した。
 次世代宇宙服は地上と国際宇宙ステーションを結ぶオリオン有人宇宙船の船内で着用する「仕様1(Configuration One)」(画像左)と、月面での船外活動で着用する「仕様2(Configuration Two)」(画像右)の2つに分かれており、それぞれオリオン有人宇宙船の最初の有人飛行が予定されている2015年頃までに完成することが見込まれている。
 NASAではオリオン有人宇宙船の場合、1度に6名の宇宙飛行士が搭乗することとなるために「仕様1」の船内宇宙服の場合には小型軽量で機動的であることを。また、2020年頃に予定されている月面ミッションの場合、1週間に渡って月面に滞在して、その間、様々な船外活動を行う必要があることから「仕様2」の船外活動用宇宙服の場合は耐久性を重視した結果、このようなデザインに落ち着いたと説明している。
 総開発費は2億6000万~3億210万ドル(約260億~321億円)となる見通し。  


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