米空軍、退役したF-117ステルス戦闘機の解体実験を実施

mar-kun

2008年09月23日 21:16


 米空軍が今年4月に全機退役処分としていたF-117ステルス戦闘機の実機を使った解体処理実験を実施していたことが米空軍の発表により明らかとなった。
 F-117の解体処理実験は8月26日、カリフォルニア州パームデールにある米空軍の第42工場基地(Plant 42)で実施され、屋外に駐機状態にされたF-117ステルス戦闘機は、キャタピラー製の解体工事用の大型重機を使って完全に粉砕され、瓦礫の山と化した。
 今回、解体実験の対象となったのはF-117A/784という機体番号のもの。
 F-117は技術評価用のYF-117Aが5機、生産型のF-117Aが59機生産。生産型のF-117Aに関しては1982年4月20日ネバダ州グルームレイクで1機(F-117A/785)が事故で喪失、1986年7月11日にカリフォルニア州バーカーズフィールドで1機(F-117A/792)が事故で喪失、1997年9月14日にメリーランド州バルチモアで1機(F-117A/793)が事故で喪失、1992年8月4日にニューメキシコ州アラモゴードで1機(F-117A/803)が事故で喪失、1999年3月27日にユーゴスラビア・ブジャノヴィシで1機(F-117A/806)が戦闘で喪失、1987年10月14日にネバダ州トノパで1機(F-117A/815)が事故で喪失、1995年5月10日にニューメキシコ州ズニで1機(F-117A/822)が事故で喪失し、これまでに7機を喪失しており、これに今回解体された1機を加えると、残存する生産機の機体数は51機となった。
 残存機中、公開展示されている機体は780、781、782(展示機には816とペイント)、783、785の5機。
 米空軍では当初、退役した機体は全てアリゾナ州トノパ実験場(通称「エリア52」)で保存し、必要が生じた場合は実戦配備に戻す考えもあると述べていたが、一部では、トノパ実験場で保管する目的はステルス技術の機密漏えいを恐れたためではないか、との見方もでていた。
 米軍では今回、F-117の実機を用いて解体処理実験を行った目的は、F-117の最良の解体方法を見つけるため、と説明しており、ステルス技術の機密漏えいを防ぐことが可能な解体方法が見つかった時点で残りの51機に関しても順次、解体処理される可能性が強まってきた。

関連記事