米空軍が公開したB-2ステルス爆撃機の墜落直後の映像

mar-kun

2008年07月18日 21:01


 グアム島のアンダーセン空軍基地で離陸に失敗して墜落した米空軍のB-2ステルス爆撃機の火災消化後に撮影された貴重な映像。
 米空軍の公式資料によるとB-2の製造単価は11億5700万ドル(約1200億円)。米空軍が運用する機体の中ではもっとも高価な機体が離陸後、数秒でこのような無残な残骸に化してしまったこととなる。
 2名のパイロットは緊急脱出装置を使って墜落直前に脱出することができたため、幸いにして生命には別状はなかった(画像下は事故直後の緊急脱出シートを状況を撮影したもの)。
 この事故、事故調査委員会によるその後の調査により航行管制システムのエアデータセンサー(ピトー管を電子化したもの)内の空気が湿気を帯びていたため、センサーが誤認識を起こし、航行管制装置は実際の飛行速度よりも10~12ノット早い速度で飛行を行っているものと判断。航行管制システムはそのため、超過速度分の減速を行ったが、実際には規定の速度で飛行していたため、航行管制装置の誤った指示により機体は失速。墜落に至ったと結論に至った。
 エアデータセンサーが湿気を帯びている場合、誤作動を起こすことは開発時から想定されており、離陸前の点検時にエアデータセンサーが湿気を帯びていると確認された場合にはパイロットチューブの周りを熱して湿気を飛ばすように保守マニュアルには記載されていたが、B-2の保守作業員の間ではこのワークアラウンドは一般的な保守作業項目として認識されてはおらず、米国本土の空軍基地はもとより、熱帯の気候に属し元々湿気が多いグアム島のアンダーセン空軍基地であってもこのワークアラウンドは実施されていなかったという。
 事故調査委員会ではパイロットの操縦にはまったく問題はなかったとまとめている。

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