KC-767空中給油機、作業ミスで引渡し1週間で主翼を破損
航空自衛隊が今年の2月、ボーイング社から新規導入を行ったKC-767空中給油機の1号機が検査中のミスから両翼が損傷し飛行不能状態に陥ったことが23日までに明らかとなった。
KC-767空中給油機の1号機は2月20日に岐阜県各務原市の航空自衛隊岐阜基地に到着。その後、岐阜基地に隣接するボーイング社の提携企業の川崎重工業岐阜工場の航空機用ハンガーを使って最終整備が行われた上で2月29日に航空自衛隊への引渡しが実施されていた。
航空幕僚監部広報室によると事故が起きたのはボーイング社から引渡しが実施された6日後となる3月5日。愛知県小牧市の航空自衛隊小牧基地に移されて、航空自衛隊の手によって最初の検査作業を実施している最中に主翼のスラットが突然、開き、エンジンカバーに直撃。スラット、エンジンカバーが損傷。また、この事故により、両翼表面の一部も剥離するなど、機体は飛行不能状態に陥ったとしている。
スラットが開いた際、航空自衛隊ではコックピット内の油圧ポンプ作動スイッチの電球を交換する作業を実施していたが、その際、油圧ポンプ作動スイッチを誤ってオンにしてしまい、その結果、スラットが開くという動作を招いてしまったことが事故の原因と見ている。
航空自衛隊では油圧ポンプ作動スイッチを押すとスラットが開くことはKC-767の取り扱いマニュアルには記載されておらず、こうした事故が発生することは事前に予期することはできなかったと述べている。
関連記事